今年は、戦後70年の節目の年だ。あの戦争について論じる場合、ソ連との戦争と、それ以外を同列に置くことはできない。ソ連は、当時有効であった日ソ中立条約を侵犯して、日本に戦争を仕掛けた。そして、満州や朝鮮半島北部から60万人を超える日本人を拉致し、酷寒のシベリア、灼熱(しゃくねつ)の中央アジアで強制労働に就かせた。そのうち、6万人以上の同胞が命を失った。また、国際法によって、合法的に日本領となった千島列島(エルップ島からシュムシュ島までの18島)と南樺太を占領し、ロシア領に併合してしまった。このこと自体が領土不拡大の原則に違反する。
日露両国はすべて合意
外務省ホームページには、<1941年8月、米英両首脳は、第二次世界大戦における連合国側の指導原則ともいうべき大西洋憲章に署名し、戦争によって領土の拡張は求めない方針を明らかにしました(ソ連は同年9月にこの憲章へ参加を表明)。また、1943年のカイロ宣言は、この憲章の方針を確認しつつ、「暴力及び貪欲により日本国が略取した」地域等から日本は追い出されなければならないと宣言しました>と記されている。
51年のサンフランシスコ平和条約2条c項で、日本は、南樺太と千島列島を放棄した。それは、連合国が南樺太と千島列島を<「暴力及び貪欲により日本国が略取した」地域等>と認定したからだ。しかし、これは無理筋の理屈だ。