世界で最も深く透明度の高い湖として知られるロシア東シベリアのバイカル湖で、水質汚染が深刻化しつつある。周辺の観光開発による湖水の富栄養化が原因とみられる。生息する千数百の動物種のうち、約1000種が固有種という独特な生態系が脅かされており、「シベリアの真珠」と称される湖を守ろうとロシア政府は対策に乗り出した。
旅行者増え富栄養化
波打ち際の水は一見澄んでいるが、転がっている石に緑色のコケのようなものがびっしり付着する。「アオミドロ類の藻の繁殖が近年著しい」。ロシア科学アカデミー・シベリア支部付属の陸水学研究所(イルクーツク)のオボルギン主任研究員はそう話した。
ソ連時代から水質汚染の源とされた南岸の製紙工場は近年閉鎖されたが、現在の汚染の主因とみられるのは観光開発だ。