東京・虎ノ門で開かれた会見に姿を見せたのは組織委の武藤敏郎事務総長とマーケティング局長。2人は8月28日、同じ会見場で、佐野研二郎氏のデザイン原案を示して独自性を世間に訴え、問題はないとの姿勢を示したが、わずか数日での方針転換となった。
佐野氏 盗用は否定
武藤事務総長は、会見後に発覚したデザインの展示例の無断転用などが使用中止にかじを切る一因になったと説明。「全くのオリジナル作品だと確信していたが、看過できない問題が生じた」と肩を落とした。
組織委によると、無断転用などを受け、1日に佐野氏と審査委員代表を交えた話し合いを行い、佐野氏はエンブレム盗用疑惑を否定する一方、無断転用の非は認めたという。
佐野氏は「展開図に使った写真は(審査委員会に示しただけの)内部資料で、クローズの審査の場ではよくあることだが、公になるときには権利者への許可が要る。それを怠った」と説明。また、「(エンブレムは)模倣ではなく、模倣であるからという理由では取り下げることはできないが、(自身や家族に)誹謗(ひぼう)中傷がなされている」と主張した上で、「自分はデザイナーとして五輪に関わるのが夢であったが、今や五輪に悪影響を及ぼしてしまう」などと話して取り下げを願い出たという。