本作を何度も見直したというアンは「私たちの日常生活は一見、不変なものと捉えがちですが、この映画では、日常生活とはいつ終わりが来るかも分からないはかないものだと気付かせてくれます。少し立ち止まって、自分の身近にいる人たちと愛し合う。そんなことも大事なんだとも考えさせてくれますね」と、自分なりの見方を紹介してくれた。
それにしてもコット監督だ。「大人でも子供でもない微妙な時期を迎えた少女の表情が欲しかったから」とアンを主演に抜擢(ばってき)したにしても、さぞ指導に手を焼いたのではないだろうか。本作での演技が高く評価され、将来のさらなる活躍が期待されるようになった今に至っても、アンは「女優になることには興味が全然なくて…。オーディションを受けたのも父親がやってみたらどうかと強く勧めたからです」と困惑気味であるし、翌日の舞台挨拶では「私は恥ずかしがりやだったので、コット監督も製作陣も私を映画に出すということは大きなリスクだったのではないでしょうか」と口にしてしまうほどだ。女優業への執着など何もないごく普通の少女だったのだ。