南極の氷の上に立つペンギン。米航空宇宙局(NASA)の観測では南極の氷はむしろ増えており、従来の説を覆した=2010年1月23日(ロイター)【拡大】
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が13年に発表した報告書では、温暖化の影響で南極の氷は減り続けており、海面が上昇していると断言していた。
また、多くの学者もこれまで、南極の東部や内陸部では氷が増加傾向にあるものの、南極半島と、この半島を含む西部の一部では、温暖化の影響で氷が溶けて減少し続けていると主張。全体として氷は減少しているとして、もはや異論を差し挟む余地はないとみられてきた。
研究チームのリーダーを務めるNASAの雪氷学者、ジェイ・ツバリー氏も今回の研究成果が「南極に関して言われている一般論と食い違っている」と指摘。そのうえで、大陸西部にある南極半島などでは他の研究と同様に減り続けているが、「西部でも内陸部では、東部とともに減少分を上回る勢いで増えていることが確認できた」と明言している。
今回の研究結果が正しいとすれば、「温暖化で南極の氷が溶けて海面が上昇している」との論理は破綻することになる。