仏で卓効、非常事態宣言
西修・駒澤大学名誉教授(75)によれば、1990年以降制定された102カ国の憲法全てに緊急事態条項が設けられている。ナチス台頭の深い反省の上に練られた現行独基本法(憲法)でも緊急事態条項は担保された。ドイツと並ぶ欧州民主主義国の雄フランスも、2015年11月13日夜のパリ同時テロで数々の権利を制限した。制限内容を紹介する前に、仏政府が採った措置の概要を検証する。
テロ翌日の14日、仏大統領はテロが《イスラム国》の犯行だと断定し、12日間の《非常事態宣言》を発令した。16日の議会演説では、シリアで計画→ベルギーで組織→フランス人らが実行…との背景を明らかにした。この時点で168カ所の捜索で23人を身柄拘束。死亡した実行犯7人中4人の身元を洗い出した。さらに主犯を特定し、逃亡犯1人も指名手配する。早くも18日には主犯のアジトを120人で急襲し、銃殺や自爆で死亡した主犯ら2人を除く7容疑者を拘束した。