言ってみれば、中国の自然・社会・政治・経済環境の全体、すなわち「中国」そのもの全体に対する中国人自身の嫌気と不信感こそが、現在の移民ブームを引き起こす要因となっている、ということである。
10月に発売された『英才』という月刊誌では、北京師範大学金融研究センターの鐘偉教授が論文を寄稿して同じ問題を取り上げている。彼が出した数字によると、過去10年間、中国から海外への移民数は平均にして年間45万人にも上り、彼らが外国へと持っていった資産は2500億ドル程度であったという。
ちなみにこの金額は、中国の政府と国内企業が今まで行った海外への直接投資の2倍である。
鐘教授はここで、「足による投票」という面白い造語を使って今の移民ブームの本質を説明している。