【必読!中国ビジネス】第31回 「主要都市 ここが狙い目」(11)大連市 (1/3ページ)

2011.12.5 05:00

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 日系企業進出が盛んも曲がり角に

 中国東北地方の大連市は、かつて日本が統治していた歴史的背景から対日感情が良く、日本語学習者が中国の他地域に比べて多いことから、日本語人材が豊富であることが特徴です。そういった地域性を生かして、日系企業の進出も経済技術開発区への製造業現地法人の設立など、昔から盛んでした。最近、製造業以外の進出で特に注目を集めている地域があります。「大連ソフトウエアパーク」です。

 同パークは、大連市西郊外にある総面積3平方キロメートルの学園研究地域で、IT(情報技術)やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を主要産業として、大連市当局が積極的に外資企業の誘致を行っている地域です。

 事業環境に魅力

 大連にはもともと日本統治時代からの影響や、朝鮮族などが多いことから、日本語教育が盛んです。またソフトウエアパーク周辺には、大連理工大学や大連外国語学院など日本語人材の供給源である学校も豊富にあるため、他地域よりも安価な人件費で日本語が堪能な人材を確保できます。

 例えば、中国の他地域であれば日本語検定2級レベルでも日系現地法人の通訳者となっている例がありますが、大連市では日系現地法人の通訳であれば通常は日本語検定1級有資格者を採用しています。

 そういった人材をデータ入力やコールセンター、BPO業務に従事させることにより、日本よりも安いコストで業務を行うのが、一般的な大連ソフトウエアパーク日系企業現地法人のビジネススキームです。

 大連市当局も「従来の重厚長大型製造業の誘致から、ソフト産業の誘致」へと転換を図っており、ソフトウエアパークにはさまざまな優遇政策が用意されています(Q&A参照)。