オリジナル乳製品の販売を手掛ける「磯沼ミルクファーム」の磯沼正徳さん=東京都八王子市【拡大】
個人経営の都市型酪農が、乳業メーカーへの出荷に依存したビジネスから脱却し、多角化経営で成功を収めるケースが出てきた。
高付加価値の乳製品を百貨店や高級スーパーで販売し、固定ファンを開拓する一方で、消費地に近い利点を最大限に活用し、駅ビルにイートイン完備の乳製品専門店を開業するなど、消費者の懐に飛び込んだ小売り事業も積極展開する。
都市型酪農家が始めた新ビジネスを核に、周辺の農家も生産物の供給という形で潤う仕組みを構築するなど、地域経済に好循環をもたらしている。
東京・多摩地域の中核都市、八王子市。商業ビルが立ち並ぶ中心市街地から車で10分足らずの通り沿いに、約2ヘクタールの牧場が広がる。酪農家、磯沼正徳さん(60)が経営する「磯沼ミルクファーム」は、生乳の1割程度を牧場オリジナルの乳製品にし、ネットなどで販売する。25日にはJR八王子駅に開業する駅ビル「CELEO(セレオ)八王子北館」に、イートイン完備の専門販売店を立ち上げる。