今回は、中国はこのカードを切ろうにも切れないのだ。この2年間に日本は代替品の開発を進めるとともに、調達先を分散した。今年上半期の輸入量は6102トンに激減している上に、輸入元はフランス21%、ベトナム13%、エストニア9%などとなり、中国依存率は49%にまで減った。この状況で中国が輸出制限に踏み切れば、日本はフランスなどからの調達を増やすだけのことである。
今月24日には、中国の苦境を示すニュースも飛び込んできた。中国のレアアース最大手、内蒙古包鋼稀土高科技が1カ月間の操業停止を決めたというものだ。経済カードを政治に使えば、自国産業も返り血を浴びる。今回はそれを、中国に教え込む好機でもある。日本が見失ってはならない視点はそれだ。訪日中国人が減った10月、日本人の中国ツアーも72%減った。中国観光業も打撃を受けているのである。苦しいのは日本だけではない。
フランスとは雲泥の差
輸出入に関しては、ほっとするようなニュースもある。来月15日に解禁になるボージョレ・ヌーボーに関するものだ。今年は産地のブドウが、例年の半分の収穫量という不作で、値上がりが心配されるが、23日に早々と販売価格を発表した西友は、昨年の価格以下に値下げする方針だ。