中国で8月から9月にかけて激化した反日デモは、日系企業の工場や店舗の破壊、日本製品の不買運動に発展し、製造拠点を集中し売り上げを依存する“中国リスク”が顕在化した。中国進出を検討している日本企業にとって、まさに冷や水を浴びせられる事態だが、上海でデモを目の当たりにした経営コンサルタントの呉明憲(ご・めいけん)TNCソリューションズ代表(44)は「ゆっくり考える時間を与えられたと考えるべきだ。こんなに良い機会はない」と、意外な提案をしている。
デモは中国人にとってお祭り
呉氏は神戸育ちで香港、台湾の国籍をもち、1998年に日本に帰化。日本の都市銀行を退職し、10年前にTNCソリューションズを立ち上げ、日本の企業に中国進出のコンサルティングを行ってきた。経歴からも中国に対する造詣は深く、上海では実際に日本総領事館でのデモの光景を間近で見た。
そして呉代表は当時の感想をこう振り返った。
「ひと言でいうと、祭りだった」