地下鉄、ホテルでも「カー、ペッ」
日本人が中国に来てまずカルチャーショックを受けるのは、衛生観念の違いだろう。首都の北京ですら、「道路はゴミ箱」という地域が多い。内陸部のある都市で、小さな男の子がお菓子の袋を当然のように路上に投げ捨て、一緒にいた母親が何も言わないのをみたときには「少なくとも次の世代までこの感覚は変わらないのでは」と思った。
上海の商店街を歩いていて、3人乗りのオートバイが、目の前でフルフェースのヘルメットを投げ捨てていったこともあった。
「暑いからヘルメットいらねえな」「捨てちゃえよ、どうせ買ったもんじゃねえし」という会話があったかどうかは知らないが、きっとそんな感じなのだろう。
結構な衝撃音とともに捨てられたヘルメットは、近くの商店主が何事もなかったかのように拾っていった。
路上にたんを吐く人は、やはり多い。上海では混雑する地下鉄車内で出稼ぎ風の男性がたんを吐いていたし、滞在先のホテルで、ドアの向こうの通路から「カーッペッ」という声が聞こえたときには、叫びたくなった。