再生医療の産業化をめぐる検討会議の初会合に臨む委員ら=10日、経済産業省【拡大】
政府は10日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使う再生医療の産業化に向けた検討会議を始動させた。再生医療産業の育成は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の第3の矢になる成長戦略の柱の一つで、会議では関連製品の安全を確保するルールを作成する。iPS細胞を発明した山中伸弥京都大教授がノーベル医学・生理学賞を受賞して注目された再生医療を日本発の医療産業として飛躍させ、日本経済復活につなげられるかに、大きな期待がかかる。
会議は「再生医療等基準検討委員会」の名称で、経済産業、厚生労働、文部科学の3省の担当者や有識者で構成。座長には、岡野光夫・東京女子医科大教授が就任した。
この日の会議では、企業が再生医療に使う細胞を加工する際、製造施設に求められる衛生状態の基準などが必要との意見が出た。発展途上の再生医療の産業化には、安全性や品質の向上が欠かせないためで、会議では今秋をめどに再生医療製品の加工施設に関する安全・品質基準のたたき台をまとめる方針。日本メーカーによる製品の海外展開を進めるため、国際基準化もにらんで検討を進める。