マレーシアでインターネットを悪用したサイバー犯罪が急増している。同国の科学技術省傘下機関のサイバー・セキュリティー・マレーシアによると、昨年の被害総額は11億リンギット(約341億円)で、今年は1~6月で10億リンギットを超えた。現地英字紙スターなどが報じた。
同国のサイバー犯罪の中でも多いのが、金融機関などからと偽った電子メールや偽装ウェブサイトを使い、暗証番号やクレジットカード番号を詐取するフィッシングと呼ばれる手法。政府は銀行などを装って個人情報を要求する電子メールへの注意を消費者に喚起するとともに、警察など関係機関を横断する対策部局を創設して対応に当たっている。
しかし、現状の対応では不十分だとする声も上がる。地場商銀大手RHB銀行の幹部は「今のうちに効果的な対策を講じなければ、今後被害が一気に拡大する恐れがある」と述べ、英国の詐欺取締庁(NFA)のような専門機関を設置する必要があるとの考えを示した。