【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(12) (2/3ページ)

2014.3.21 05:00

完工間近のシュエテインドー・パヤーの大伽藍(がらん)。中央に緑色で書かれている「ミャバイン」は、チャウセー町の缶入りコンデンスミルクメーカーの社名。同社のオーナーは一代で財を成し、国会議員も務める(筆者撮影)

完工間近のシュエテインドー・パヤーの大伽藍(がらん)。中央に緑色で書かれている「ミャバイン」は、チャウセー町の缶入りコンデンスミルクメーカーの社名。同社のオーナーは一代で財を成し、国会議員も務める(筆者撮影)【拡大】

 しかし、私が初めてパヤーを訪れた1987年には、建物群は極めてこぢんまりとしており、村とその周辺の人々が慎ましやかに信仰する、どこの村にでもあるようなものだった。私が寄進した1000円で小さな門を作り、私のミャンマー名を刻んでくれたくらいの規模だ。当時から、このパヤーは11世紀中ごろにミャンマー最初の王朝バガン朝の開祖アノーラター王が建立したものであり、霊験あらたかであるという言い伝えはあったが、碑文学者のルースの論文などを読むと、どうも場所が違うように思われる。

 そんな村の小パヤーが、10億チャット(約1億円)をかけて、仏像を安置するチャウンダイッと呼ばれる仏殿、ダマーヨウンという講堂、ザヤッと呼ばれる信徒の休息所などを現在建設中であり、2014年6月ごろ完成の見通しとなっている。

 総世帯数236、人口1024(13年8月)の小さな村がなぜこのような大事業を敢行できるのだろうか。農業労働者の賃金が1日3000チャット、左官や大工の日当が5000チャットで、これらを主業とする世帯が村の半数を占める村がどのようにしてこのような大金を集めることができたのであろうか。まずは、そのあたりから探ってみよう。

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