甲斐信好教授【拡大】
甲斐信好・拓大教授に聞く
タイ国軍が先週、クーデターを宣言し、政府、反政府を問わず政治家などを一時拘束した。タイ政治の専門家で現在、同国東北部のコンケン大学に客員教授として滞在している甲斐信好・拓殖大学国際学部教授に今回のクーデターについて聞いた。
不可解なタイミング
--今回のクーデターは予想していたか
「来るべきものが来たとは思ったが、このタイミングで来るとは思わなかった。20日に戒厳令が敷かれ、対立する選挙管理内閣と親・反政府グループ、与野党、選挙管理会、上院代表を和解のために招集した会議の最中に、メンバーを拘束してクーデターとは正直、驚いた」
--国軍が今回、動いた理由は何だと考えるか
「戒厳令を敷いたのは、国民の生命安全を守るため、治安維持のためという理由はそれなりに理解できる。実際、反政府運動側のスティープ元副首相がやろうとしていたことは政治的な自殺行為だった。しかし戒厳令から2日目のクーデターは不可解だ。『和解のための会議を開いたが到底不可能だとわかったのでクーデターを行った』という解説があるが、対立する両派の歩み寄りが簡単にできると軍が想像していたとは思えない。今回の戒厳令は布告当時、『ステルス(見えない)クーデターでは』といわれたが、最初から関係者を一網打尽にするという3日間をかけた「スローモーション・クーデター」だったのかもしれない」