東日本大震災の被災地では、被災者の移転需要の高まりから、福島、宮城の2県でも平均路線価が上昇した。福島での上昇は平成4年以来22年ぶり、宮城は都道府県別で最も高い上昇率となった。
「被災者の住宅需要は、いわき市から郡山市などへ拡大している。『住める所がなくなる』という切迫感があるのではないか」。福島県の不動産鑑定士、鈴木禎夫さん(59)はこう分析する。福島県では郡山市で前年比2・0%、白河市で1・9%など「中通り」と呼ばれる内陸部での上昇が目立つ。
浪江町で被災し、二本松市内の仮設住宅に住む柴田明範さん(48)は半年以上、家探しをした上で、昨年11月、仮設近くの古民家を購入。リフォームが必要だが、地元大工が「仕事がありすぎて手が回らない」として、転居はいまだ実現していない。「普通は地価が上がるのはうれしいが、今の福島にとってはマイナスでしかない」と嘆いた。
前年比2・4%の上昇を記録した宮城県では、石巻市や気仙沼市の高台のほか、仙台市への被災者流入が路線価を押し上げた。不動産広告会社DGコミュニケーションズ仙台支店によると、25年の同市内の分譲マンションの平均価格は3584万円とバブル期並みという。