■新規格策定を機に意識共有
日本の子供は少ない。昨年10月の統計で計算すると、総人口に占める0歳の割合は0.8%で、64歳の割合(1.8%)の半分以下である。7歳以下の割合は6.6%で、80歳以上の割合(7.3%)より少ない。
この子供たちを、私たちみんなで大切に育てたい。そんな思いを持つ人たちが、子供服の新しい日本工業規格(JIS)を生み出した。
安全のために、7歳以下の子供服の頭や首には、ひもをつけてはいけない。8歳から13歳までの子供服の頭や首には、先が外に出るひもをつけてはいけない。背中にも、飾りひもなどをつけてはいけない。フードをつける場合は、力が加われば本体から外れるようなホックをつけるのが望ましい。
新しい規格の実現に重要な役割を果たしたのが、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)である。消費生活関係の資格を持つ人たちが会員として活動している消費者団体だ。この団体の東日本支部会員の有志が作った「標準化を考える会」が、子供服の安全に取り組んできた。
◆ひもが絡んで窒息
海外で、子供服のひもが首に絡んで窒息する事故が、製品事故として問題になった。亡くなったり、脳に障害が残ったりした子供たちのことが、人々に伝わった。欧米の工業標準の関係者はこの事態を重く見て、事故を防ぐための規格を作った。
海外で何度も起きている事故が、日本でだけ起きないはずはない。NACSは、国民生活センターに消費者相談のデータ開示を求めた。しかし、子供服のひもによる窒息は、製品事故の情報として寄せられていなかった。
そこで、NACSは、東京都が出していた報告書や一部の業界団体が作ったガイドラインも踏まえ、事業者にアンケートを行った。また、「子供服セミナー」を各地で開催し、消費者の意見を集めた。