タイは政情不安などで観光業の不振が続くなか、年末に向けた回復に業界内の期待が高まっている。業界団体のタイ観光評議会(TCT)によると、同国の観光業界の景況感を示す観光業信頼感指数は7~9月期に93と基準値(100)を下回ったものの、暫定政府の講じた施策などが奏功するとの見方が業界内で強まっているもようだ。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。
同指数は四半期ごとにタイ国内の観光業者600社の実績調査などを実施して指数を算出、100を基準値に上回ると活況、下回ると不況を示す。タイは昨年から続く政情不安で観光客が減少するなどして観光業も減速し、政変が発生して国軍が政権を掌握した5月を含む4~6月期の同指数は2011年以降の最低値となる87まで低下した。
しかし、国軍主導のプラユット暫定政権は、これまでに日本を含む一部の国・地域を対象に外国人旅行者のビザなし滞在期間の延長や、中国・台湾人旅行者のビザ申請費用の免除などの措置を講じたほか、世界各地でのキャンペーン強化を図るなどして観光業の再起に向けた動きを本格化させている。
さらに、来年1月2日を祝日として年末年始の連休を5日間とするほか、観光地の安全強化の姿勢を明確に打ち出すなど、最近も新たな施策を次々と打ち出している。今後も景気浮揚のために国内総生産(GDP)の1割ともされる観光産業を盛り立て、国内外の旅行者増を目指していく方針だ。