安倍晋三政権の成長戦略の目玉として地域限定で大胆な規制緩和を行う全国6地域の国家戦略特区での具体的な事業計画が出そろった。しかし、西日本の3区域が本格稼働の前提となる国による事業計画承認を受けたのに対し、他地域は素案提示の段階だ。なかでも牽引(けんいん)役として期待される「東京圏」は大きく出遅れた。背景にあるのは、国と東京都の間の温度差だ。
スピード重視が一転
「国が『上から目線』でいろいろ言ってきたのが遅れた最大の理由」
10月1日に開かれた東京都の一部と神奈川県全域、千葉県成田市から成る東京圏の国家戦略特区区域会議。会議終了後、舛添要一東京都知事は東京圏の進捗(しんちょく)の遅れは国に原因があると強く批判した。
昨年6月の成長戦略で国家戦略特区の構想が出され、有識者や関係閣僚から成る国家戦略特区諮問会議の議論を経て、全国6カ所の戦略特区を正式に指定したのは今年5月。新藤義孝国家戦略特区担当相(当時)は「各特区の区域会議は5月下旬から6月にかけて早急に設置し、夏をめどに事業計画を定められるのが目標」とスピード重視の方針を強調した。