専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」の改革に向けた姿が見えてきた。政府税制調査会は7日の総会で、結婚後も仕事と子育ての両立を目指す女性に配慮した仕組みなど5案を提示した。制度の適用を受けるため、働く時間を制限する現行制度の問題点を改善し、女性の就労を後押しするのが狙い。ただ選択肢によっては負担が重くなる世帯が生じる可能性もある。2016年度以降の制度具体化に向け、政府・与党は難しい選択を迫られそうだ。
政府税調が示した配偶者控除の見直し案は大きく3パターンに分類される。(1)廃止(2)夫婦で受けられる基礎控除の合計額を一定にする(3)夫婦であれば妻の年収を問わず夫の年収から一定額を差し引く「夫婦控除」創設-だ。いずれも見直しとセットで子育て支援を拡充するとした。現行の配偶者控除制度では、妻の年収次第で、夫婦で受けられる控除額が変わる問題点があり、中立的な税体系に改める狙いがある。
同日の会合では、女性が結婚後も、仕事と子育ての両立がしやすくなるよう現行制度を廃止し子育て支援を拡充する案か、専業主婦、共働き世帯の両方に配慮した「夫婦控除」を導入する案を推す声が多かった。ただ、単純に制度を廃止するだけでは、専業主婦世帯やパート世帯にとって負担増になるなどの問題が生じる。このため、政府税調の中里実会長は会合後の記者会見で「拙速に結論を決めない方がいい」と語り、慎重に議論を進める考えを示した。