経済産業省は27日、企業の営業秘密の保護を議題とした有識者会議を開いた。製造技術のような重要情報の海外流出を防ぐため、刑事捜査などの根拠となる不正競争防止法を改正。罰金上限の引き上げなど罰則を強化するほか、被害申告を必要としない「非親告罪」にする。来年の通常国会に改正法案の提出を目指す。
米韓など海外では経済スパイ行為を特別に扱う法律が制定されているが、新法制定は見送った。新法は刑法全体との整合性など課題が残り、早期に対応できる対策を既存の不正競争防止法の改正案に盛り込む。
この日は、罰金上限の引き上げや情報漏洩(ろうえい)による見返りとして得た収益の没収など厳罰化の方針が固まった。現行は「10年以下」とされている懲役刑の引き上げは実施しない。
これまで刑事訴追には企業などの被害申告が前提だった。実際の技術漏洩の事例では企業が流出に気づかない場合も多く、非親告罪とすることで捜査機関が独自に捜査を開始することが可能になる。具体的に秘密漏洩が起きていない未遂の段階でも処罰対象とする方向だ。