ミャンマーの首都ネピドーで開かれたASEAN首脳会議。加盟10カ国の首脳らが一堂に介した=昨年11月(AP)【拡大】
タイ政府は国境を越えた物流が今後活発化するとみて、総額3兆バーツ(約10兆8900億円)の輸送インフラと国境特区の整備計画を推進していく。また、国内企業に対してIT(情報技術)導入を支援し、国外企業への投資優遇措置を拡大するなどしてAEC発足後のビジネス拠点の地位獲得を目指す。
発足に向けた準備不足が懸念されるのが、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナムの4カ国だ。カンボジアの現地紙プノンペン・ポストによると、特に遅れているのは制度面や通関手続きの簡略化の準備で、アジア開発銀行(ADB)は昨年9月の報告書で「各国は努力を続けているが、依然として多くの課題を乗り越える必要がある」とし、AECが今年末に予定通り発足を迎えるのは困難だとの見解を示した。
◆関税下げなど課題
カンボジアは、国際労働機関(ILO)が作成した報告書で、低水準の人件費が功を奏し、AECによって2015~25年の間に国内総生産(GDP)の19.9%の押し上げ効果が得られると評価された。しかし、関税引き下げなどAEC参加の準備が整うのは17年になるとする専門家もおり、同国が潜在力を発揮するには時間がかかりそうだ。
このほか、域内で1人当たりGDP首位のシンガポールや、今年のASEAN議長国のマレーシア、資源輸出が好調な都市国家のブルネイは、それぞれ先行して関税を撤廃していることもあり、AEC発足を比較的冷静に迎えようとしている。
その一方で、経済好調ながらも雇用創出と貧困解消に決め手を欠くフィリピンでは、国内の98%とされる中小事業体のAECの知識、競争力不足が深刻との懸念が根強いもようだ。
経済規模の違いを乗り越えて団結を目指すASEAN各国だが、ここに来て準備状況の違いや利害不一致も表面化した。この1年でどのような調整が行われ、いかなる形でAECが船出を迎えるか、世界の注目を集めている。(シンガポール支局)
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