銅、ニッケル価格が下落 自動車や電機に恩恵

2015.2.12 20:46

 銅、ニッケルといった商品市況の価格が安値圏で乱高下している。米国の量的緩和終了や原油安に引っ張られる形で投資家のリスク回避姿勢が根強いことに加え、供給過剰懸念が拭えないことが大きい。ただ、自動車、電機などの企業にとっては調達コスト削減にもつながることから、日本経済全体にとってはプラスとの見方が出ている。

 原油価格と連動するといわれる銅相場。乱高下する原油価格に合わせる形で、国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅価格は、1月29日に1トン=5400ドル台を割り込み、約5年半ぶりの安値をつけた。今月11日の終値は前日比5ドル高の5600ドルと徐々に戻っているが、1月2日に6255ドルだったことを踏まえると依然、低水準で推移しているといえる。

 ニッケルも2月に入り一時、1月の1トン=1万4千ドル台を脱したものの、上値が重い展開が続いている。

 もともと、価格変動が大きいといわれる商品市場には、ヘッジファンドなどの投機資金が入りやすい。ただ、米量的緩和終了や欧州経済不安などでリスクを避けようとする動きが強まったことで、「投機資金が国債などの安全資産にシフトしている」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員)。

 加えて、銅は自動車、電機などの電子部品や電線といったインフラ向けにも需要があるなど幅広く使われるため、「景気の動きを反映しやすい」(楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリスト)。世界経済の成長率見通しを世界銀行が引き下げたことで、世界最大の工業用金属消費国である中国の需要が鈍化するとの観測が価格上昇に歯止めをかけている。

 こうした商品市況の動きは、日本企業にとっても影響は大きい。

 東芝や日立製作所は銅価格の下落について「部品購入など調達コスト軽減につながる」と歓迎する。このほか、1台当たり20~30キロの銅を使うといわれる自動車も、部品調達コストの低減が図れる恩恵がある。

 金属メーカーや資源ビジネスを展開する総合商社にとっては、利益が減少することとなる。住友金属鉱山は、円安効果で全体の利益は確保できる一方、ニッケル価格が10~12月に下落した影響で単価が落ち込んでいる。銅価格の下落で権益を保有する銅鉱山からの収益も縮小しているという。(大島直之)

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