■【検証 8% 消費増税1年】(下)「痛み」より税体系抜本改革
「消費税増税は日本の成長にあまり良い結果を生んでいない」。8%への消費税増税から約10カ月後の1月末。来日した仏経済学者のトマ・ピケティ氏が言い放ったのは、増税への懐疑的なコメントだった。「この方向で良いのか確信できない」
世界的なベストセラーとなった著書「21世紀の資本」の中で、世界各国の膨大なデータを分析して格差の広がりを指摘するピケティ氏は、格差縮小のために資産に対する課税を強化すべきだとの立場で、日本の消費税について「(若者も含めて)低所得者にも課税される」との欠点を指摘する。
消費税増税から1年。増税は若年層を中心に消費を冷え込ませたが、実際の値上げよりも増税で苦しいと感じてしまう「痛税感」がマインドを冷え込ませているとの指摘も根強い。だが、政府の目線は足元の増税の痛みの先。現行の税体系の抜本改革にあり、消費税8%への増税を含む社会保障と税の一体改革は一里塚となる。