そのために森林地帯の開発が遅れ、かえって手付かずの自然が残された側面もあるが、一方で無計画な森林伐採や野生動物の密猟なども横行していた。
キリロムは、世界遺産に指定されたアンコール遺跡のあるシエムレアプに比べ、観光地としての歴史が浅く国際的な知名度も低い。だが、豊かな自然を生かし、地元住民たちによるエコツーリズムの開発が進むなど、カンボジアの新たな観光資源として注目されている。
◆大学が運営
猪塚社長によると、同社がキリロムで目指すのは「大学が運営するリゾート施設」だ。リゾート開発に必要な技術や知識を中心に、建築デザイン、通信技術、観光、経営など幅広い分野の研究・教育を担う広大なキャンパスを造り、人材を育成する。その中に、学びの実践の場としてのリゾート施設を置くという考え方だ。
現在、第1フェーズとして開業しているvKiriromには、約20部屋の客室、中心となるレストラン、従業員が暮らすワーカーズビレッジなどがある。客室は、別荘風のコテージのほか、カンボジアの農村の高床式住宅を模したコテージ、巨大な土管を利用したユニークな部屋、気軽に泊まってもらうためのキャンプセットなど、森の雰囲気を味わえる工夫がほどこされている。
宿泊費は1泊20~250ドルと幅広い。「どんな人にでも楽しんでもらえるリゾートにするのが目的。たとえば、数百人の社員旅行にも使ってもらえる場所にしたい」と猪塚社長は言う。また、滞在型のリゾート地とするために、別荘の建築・販売にも取り組んでいる。