環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が最終攻防に入った。米ハワイ州のマウイ島で開かれている閣僚会合で最終日の31日までに大筋合意に持ち込めるかは最難関の知的財産分野と関税の撤廃・削減をめぐる参加各国の協議が決着できるかどうかにかかっている。そのためには、錯(さく)綜(そう)する利害対立の結節点にいる米国の一定の譲歩は欠かせない。米国はどう出るのか-。
甘利明TPP担当相は30日の会合前に記者会見し、知財分野で「利害がぶつかり調整できなかった」として会合の開始が遅れたと説明。「(会合は)長時間予定されている」とした上で、大筋合意できるかは「やってみないとわからない」と厳しい見方を示した。ただ、ある交渉筋は「交渉は新薬データの保護期間と関税がまとまれば、大筋合意が成り立つ」とし、「交渉は合意に向け大きく動き出している」と打ち明けた。
鍵を握るのは米国だ。知的財産のうち最も難航する新薬保護のデータ期間では、有力な新薬メーカーを多く抱える米国が期間をできるだけ長くするよう求めるのに対し、マレーシアやベトナムなど新興国やオーストラリア、ニュージーランドは短期に抑えるよう主張。関税でも乳製品などの市場開放をめぐり、米国はニュージーランドやカナダと対立している。