シンガポール独立記念日の9日、人気の高級ホテルと繁栄の象徴である金融街を背にいくつもの花火が打ち上げられた(AP)【拡大】
一方で、バングラデシュやインド、ミャンマーなどから大量の労働者を受け入れ、ビルや地下鉄、道路建設などにあたらせてきた。シンガポールの人口は約547万人だが、うちシンガポール人と永住者は387万人。残り30%を占める160万人は外国人だ。1人当たりGDPが高いのもむべなるかなだ。
経済成長が続くうちはそれでもいいが、経済成長が止まり、シンガポール国民の間に格差が広がると、こうした外国人労働者に対する不満が頭をもたげる。とくに金融セクターなどで働く外国人に対し、職に就けないシンガポール人の不満は高まることになる。シンガポール人材開発省(MOM)のデータによると、15年6月時点の失業率は全体では2.0%だが、外国人居住者の場合は2.8%、シンガポール国民は2.9%と0.1ポイント上回っている。国民の方が失業率が高い傾向はここ数年続いている。
◆指導者一族の疑惑
シンガポール政府は外国人の就労基準を厳しくするなどで、こうした国民の不満の高まりを抑える姿勢を打ち出しているが、経済成長を続けてこられたのも、外国人労働者に多くを頼ってきた結果だけに、制限すれば経済低迷に拍車をかけることになる。
一方、国内ではこれまで、新聞やテレビ、雑誌をすべて政府の事実上の監視下に置き、言論・表現の自由を制限してきた。政府批判、とくにリー・クアンユー一族に対する批判は一切許さなかった。シンガポールの政府系ファンドGICの社長はリー・シェンロン首相。さらにソブリン・ウエルス・ファンド、テマセク・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)はリー首相のホー・チン夫人が務める。シンガポールの中央積立基金(CPF)の運用をめぐる不透明性を指摘したブロガーは、リー首相の名誉を毀損(きそん)したとして裁判にかけられている。