マイナンバーの公式PRキャラクター「マイナちゃん」と会見する甘利明社会保障・税一体改革担当相【拡大】
【早坂礼子の経済ウオッチング】マイナンバー前夜(2)
10月の通知で始まったマイナンバー制度だが、導入当初に個人が享受できるメリットはそう多くない。せいぜい年金受給や児童手当の申請など行政機関で手続きをする際に添付書類が省略できるくらいだ。
一方、政府関係者の多くは「マイナンバーはこれからの日本にどうしても必要な社会インフラだ」と説く。急速に少子高齢化が進むいま、年金財政は逼迫し、社会保障の拡充どころではなくなってきている。マイナンバーを手がかりに複数の機関に分散している個人情報を確認すれば、個人の所得と資産が特定できる。税の取りはぐれを防ぎ、支援を求める人に分配する公平な税制を実施することができると期待しているのだ。だがマイナンバー導入の目的はそれだけではない。
利用範囲の拡大がカギ 既得権益をあぶり出すこと
自分の番号が記された通知カードと引き替えに来年1月から交付される「個人情報カード」にはICチップが搭載されており、多くのデータを登録する余地がある。普段あまり意識することはないが、私たちはすでにいろんな番号を持っている。市町村の住民番号、雇用や介護保険の番号、健康保健やパスポート、自動車登録の番号、クレジットカードや銀行口座の番号もある。医療機関の診察券番号もあるし、サラリーマンなら社員番号もある。理論的にはこれらの番号をマイナンバーに紐づけて1枚のICカードに集約することが可能だ。