自民、公明両党が27日に再開した軽減税率の制度設計に向けた与党協議では、自公の意見の隔たりの大きさが改めて浮き彫りとなった。焦点となっているのは対象品目の選定や、目減りする税収の穴埋め財源、事業者の経理方式だ。与党は11月中旬までに制度の詳細設計の結論を得る考えだが、約1カ月弱の短期決戦で折り合うのは簡単ではない。
■対象品目
最も調整が難航しているのが制度の根幹を左右する対象品目の線引きだ。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は27日の会見で「極めて限定的でなければ混乱を起こす」と強調。「生鮮食品」を軸に、限りなく対象品目を絞り込みたい考えを改めて示した。これに対し、公明党税制調査会は「酒類を除く飲食料品と新聞・出版物」案を改めて主張。消費税増税時の負担感を考えれば、幅広い品目を対象にすることは譲れないとの立場を崩さなかった。両党の主張は平行線のままで、現時点では妥協点すら見えていない。
■代替財源
自公の意見が食い違うのは財源でも同じだ。両党は27日の会合で、医療、介護などの自己負担総額を抑える「総合合算」の新設を見送り年4千億円程度の財源を得ることでは合意した。 ただ、それだけでは公明党が主張する酒類を除く飲食料品と新聞・出版物には足りない。公明党の斉藤鉄夫税調会長は、財源は「税制全体で考えるべきだ」としており、消費税率8%への引き上げに伴い導入した低所得向けの給付金などの財源を振り向ける案やたばこ税、所得税の増税などを提案している。これに対し自民党は、消費税収を社会保障に充てる「一体改革」の枠内で財源を確保する方針で、枠外から確保する公明党の案には否定的だ。
消費税率10%への引き上げによる税収の増加分は、社会保障制度の充実策などに活用することが決まっている。軽減税率制度を導入するとその分だけ税収が減るため、妥協点をどう見いだすかが課題になる。
■経理方式
制度導入に伴う簡易な経理方式の設計も難題だ。両党は軽減税率の導入で、商品ごとの納税額が正確に計算されず、消費者の負担した税が事業者の手元に残る「益税」が増えやすくなると懸念。それを防ぐために、商品ごとに税率や税額を明記するインボイス(税額票)による経理が必要という認識では合意する。ただ、10%に上げる平成29年4月にはインボイスが間に合わないため、まずは簡易型を導入することでも一致した。ただ、その具体策でも公明党が現行の請求書を使う方式を提案するのに対し、自民はより簡易な方式を主張している。