国際学習到達度調査、トップ独占のシンガポール 強さの理由は…

 6日公表された国際学習到達度調査(PISA)の結果では、シンガポールが科学的応用力556点、読解力535点、数学的応用力564点と3分野でトップに立った。OECDのシュライヒャー教育・スキル局長は「思考方法が科学者のようだ」と高く評価した。

 好成績は知識の活用力をみるPISAに限らない。基礎知識の習熟度を調査する国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)でも、全科目で首位を独占。背景には、少ない人口をフル活用する小国の戦略がある。

 同国では、小学校卒業試験の結果を基に大学へ進学できるかどうかが判定され、激しい競争とエリート教育の印象が強い。だが、この約10年は国民の“総活躍”に向け、大学に進学できない子供のための技術教育を充実させてきた。

 「技術人材を育成するための施設整備に予算を投じ、企業と提携しプログラムを充実させるなど、一人一人の能力に応じた教育を提供している」。こう話すのは、山梨県立大の池田充裕教授(比較教育学)だ。

 教授法改革にも取り組み、従来の講義形式の授業を減らす一方、「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる手法を導入。グループで考えをまとめて発表したり、話して使える英語を身に付けたりできるよう教員の数と教材研究の時間を増やしたという。

 池田教授は「試験があるのでTIMSSの高得点に結びつくが、活用力も重視している。学力を向上、維持させている要因は教育制度と教授方法の改革の2つにある」と指摘している。