農林水産省が地方の特産物の輸出を後押しするため、担当部署をまたいだ100人超のプロジェクトチームを発足させることが15日までに分かった。全ての都道府県に漏れなく担当職員を置き、特産品の生産者や出荷者を輸出業者に橋渡しする。海外で人気が出始めた日本産の農林水産物を円滑に海外で流通させ、市場を拡大したい狙いがある。
農水省が輸出促進のため部署横断で取り組むのは初めて。プロジェクトチームでは職員が従来の業務と兼務する形で、1組約3人で希望の都道府県を担当する。海外市場でも通用する質の高い農林水産物や、意欲のある生産者や出荷者を掘り起こし、販路を持つ輸出商社などに紹介する。
これまで、生産者が政府の後押しで海外の食品見本市に参加しても、言語の壁や現地情報の不足で商談をまとめるのが難しかった。
一方、品質が高い日本産の農林水産物は海外市場で品薄となっており、国内の輸出商社は需要を取り逃しているのが現状だ。政府が両者を仲介できれば“ミスマッチ”を解消できる。
農林水産物の輸出拡大を目指すのは、人口減少で縮む国内市場の減少分を補うだけでなく、販路を確保することで豊作の年でも価格下落を防ぎ、農家の収入安定につなげる思惑がある。
2015年の輸出額は約7500億円で、台湾や香港、シンガポール、米国の主要地域で約5割以上を占める。農水省は、アジア全域への輸出先拡大や、市場規模の大きい外食産業への販路拡大を目指している。
政府は農林水産物や食品の輸出額について、20年までに1兆円に増やす目標を1年前倒しして19年に達成すると表明している。農水省幹部は「主要な青果物を1割程度輸出するだけで現状でも数百億円規模の増加が見込める」と話す。