◆日本の技術力で対抗
日本は、このような状況下、いかに対処すればよいのか。
改正個人情報保護法(15年9月成立)によりEUと同等の域外適用も可能となり、日本国内でGAFAなどが収集した個人情報を米国の政府機関に渡しているとすれば、法的取り締まりの対象となる。しかし実際には犯罪証明も困難であり、スマホを使わないわけにもいかず、泣き寝入りするしかない。
ビジネス面では個人のバーチャルデータ収集で日本企業に勝ち目はなく、機械間や企業間でのさまざまなセンサーが生み出すデータ、いわゆるリアルデータの収集と利活用で勝ちに行かねばならない。すなわち工場の稼働データ、都市スマート化のための交通関連データや気象データなどの利活用である。しかしそこでも欧米企業によってプラットホームの事実上の標準化が進みつつあり、迅速な対応が求められる。
半面、リアルデータの場合必ずしもスマホとつなぐ必要もなく、サイバー攻撃を回避する面からもネットの通信方式とは別の方式を使えばよい。そのほうが莫大(ばくだい)なデータを高速で送ることも容易にできる。ネットを使えば世界中と直接つながるため、利便性とコスト面で極めて有利である。しかし、そのメリットとサイバー攻撃を受けるなどのデメリットとを勘案すれば一定の部分に別の方式を使う余地が十分あると思われ、ここで日本企業の優位性を発揮し、技術革新を行うべきである。