【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(40) (1/3ページ)

2017.2.10 05:00

水路から水田に水をくみあげるポンプ。漏れ出た水で、水路わきの道路が浸食されている=2017年2月、カンボジア・ポーサット(プルサット)州(筆者撮影)
水路から水田に水をくみあげるポンプ。漏れ出た水で、水路わきの道路が浸食されている=2017年2月、カンボジア・ポーサット(プルサット)州(筆者撮影)【拡大】

 ■農業水利からみたカンボジアとミャンマー

 私は今、カンボジアにいる。当地での水利組合の設立促進や運営能力の強化に向けて、同国水資源気象省が日本の協力の下で推進しているプロジェクトの一環として、カンボジアの水利組合の実態を調査するのが滞在の目的である。本稿では、カンボジアの農業水利の実態を調査した感想を導きの糸として、日本、カンボジア、そしてミャンマーの農村を比較してみたい。

 ◆天水田に脱出可能

 日本では稲作に必要な用水を、降雨などの自然的な条件のみで入手できる天水田がきわめて少ない。自然の余水を堰(せき)や水路、溜池やダムなどの灌漑(かんがい)施設を通じて、取水し、分水し、導水し、配水せねばならない。このため、灌漑施設の建設と補修に必要な土木技術の発達度合いが、日本の稲作の発展段階を規定してきた。

 支配者たちは、大規模な土木工事を行うとともに、水利用にともなう地域的な利害対立を調整した。「水は高きから低きに流れる」ため、水量や水質、利水や排水などをめぐり、上流と下流の地域的な対立が激しく、これを調停する権力が必要だったのである。

 また農民たちも、自分だけで個別に水を利用できないため、村落を中心に水利共同体を結ばざるをえなかった。農民はこの共同体を通じて上から支配されながら、同時に農業生産の基礎となる水利の日常的な維持管理と小規模な水利工事を運営してきた(玉城哲、旗手勲『水利の社会構造』国際連合大学1984年)。水利共同体への不参加は十分に「村八分」の理由となりえた。こうした水利管理や村落共同体は、少なくとも50年ほど前の日本の農村には引き継がれており、その残照は今も残る。

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