
トランプ米大統領(UPI=共同)【拡大】
トランプ米政権が発足して1カ月。主要な民間シンクタンクは21日までに、同政権が導入を目指す政策が日本経済に与える影響をまとめた。負の影響が大きいとみられるのは、輸入への課税を強める法人税の「国境調整」という仕組み。自動車の対米輸出が減るなどして、日本の実質国内総生産(GDP)は最大で0.6%程度下押しされる見通しだ。
「(米政権は)完全な体制を目指している最中だ。具体的な政策がどうなるか、注視していかなければならない」。石原伸晃経済再生担当相は21日の記者会見でこう指摘した。
トランプ政権の政策のうち、直接日本に影響があるのは保護主義的な通商政策。とくに、米共和党が「輸入減・輸出増」を目的に導入を目指す「国境調整」を市場関係者は重視する。
「国境調整」はトランプ政権も前向きとされる。企業が輸出で得た収入への課税を免除するが、輸入で払った代金を費用から差し引くことを認めない仕組みだ。米共和党によると、輸入品への課税が実質的に最大約20%上積みされることになる。米政権が発表する税制改革案に盛り込まれる可能性が高いとみられている。
SMBC日興証券は、導入されれば、年172万台の自動車の対米輸出台数が90万台減の82万台になると試算。設備投資や消費の低迷に波及しGDPが0.6%減るとした。また、生産拠点が米国に移ることで国内の雇用も36万人失われると見込む。