
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表(AP)【拡大】
ライトハイザー氏の議会承認により、通商政策をめぐるトランプ政権の体制は対日強硬路線の色合いが濃くなった。米中の2国間協議が早くも具体的成果を出したことで、米国と対中牽制(けんせい)で協調しようとした日本の思惑も機先を制された形だ。米通商政策の矛先が中国よりも日本に向かう懸念は強まり、今後の日米経済対話も苦戦が必至だ。
「米国は日本にとって、最大の農産物の輸入(相手)国だ。貿易政策の方向性を注視していきたい」
山本有二農林水産相は12日、記者会見で米国の攻勢に警戒感をにじませた。
ライトハイザー氏は日本に対し、関税や非関税障壁の見直しを迫る構え。コメや牛・豚肉など日本の重要農産品5分野でも環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)以上の市場開放を求める恐れがある。
ロス米商務長官も4日、対日貿易赤字が3月に急増したことで「これ以上耐えられない」とする声明を発表した。日本の自動車貿易もやり玉に挙がりそうだ。
日本は米国以外のTPP参加11カ国で協定を早期発効させ、「TPP以上は譲らない」と予防線を張りたい考えだ。また、日米経済対話を通じてアジア太平洋地域の貿易秩序を日米で主導する必要性を訴える方針。そこには、米国にTPPへの復帰を促し、中国の覇権主義的な動きを食い止める狙いがある。