政府がとりまとめる「骨太方針」は、大学を中心とした教育改革が柱となる。ただ、富裕層と貧困層の「格差」の固定防止や人材育成には、幼児教育を重視する方が効果的との声もある。今後はどの年代の教育改革を重視すべきか、「費用対効果」の観点から幅広い議論が求められそうだ。 (山口暢彦)
「格差問題の解消や雇用ミスマッチへの対応の観点で重要だ」
石原伸晃経済再生担当相は23日の経済財政諮問会議後の記者会見で、教育改革の意義をこう強調した。
骨太方針の骨子で格差是正を強調したのは、親の所得格差が子供の教育の質や進学率を左右し格差を継承させる恐れがあるからだ。
文部科学省によると、両親の年収が「1千万円超」だと4年生大学への進学率は62.4%に達するが、「400万円以下」は31.4%。日本は所得格差を示す指標「ジニ係数」が0.3を超え、主要先進国では米国と英国に次いで大きい。
このため諮問会議では、民間議員が「高等教育の利用機会確保」など大学中心に改革を提言してきた。
ただ、大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「効果は幼児教育の方が大きい」と唱える。根拠の一つが米国で1960年代から実施された「ペリー就学前計画」という40年におよぶ有名な調査だ。