科学研究費、「選択と集中」で応用重視 基礎にしわ寄せ (2/2ページ)

2017.6.5 05:00

 ◆根本的な改革必要

 科学技術振興機構(JST)によると、日本の科学技術分野の政府予算は01年度以降ほとんど伸びていない。米国や英国は約1.7倍、中国は約9倍だ。「現状をV字回復させるには根本的な改革が急がれる。教育目的税や教育国債の導入など政治的な決断も必要」と野依氏は強調する。

 基礎科学の分野で日本人がノーベル賞を受賞してきたことに関し、政策研究大学院大の角南篤副学長(科学技術政策)は「研究者が『面白い』と思ったことを、地道に追求し続けた成果」と分析する。今後もノーベル賞級の成果を生むには「特定テーマを掘り下げつつも国内外のさまざまな環境で刺激を受けるべき」と人材の流動性を重視する。ポスドクなど若手が安定して基礎研究に取り組み、生活ができる環境整備と併せて「年齢や実績に関係なく、研究現場を渡り歩く、いわば他流試合が結果的に日本の基礎科学を進展させる」と指摘。「運営費交付金の増額や、競争的資金の改革も否定はしないが、単純に増やすのではなく、新しい仕組みに使うべきだ」と提案した。

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