環境省は15日、農産物の品質低下や高潮の深刻化といった地球温暖化の被害を抑える「適応策」を推進するため、関連法案を次期通常国会に提出する方針を固めた。温暖化対策の枠組み「パリ協定」に基づき各国が温室効果ガスの排出を減らしても、一定の気温上昇とその影響は避けられず、国内の被害低減対策に本腰を入れる。
自民党環境・温暖化対策調査会から同日、適応策拡充の提言を受けた山本公一環境相は「真剣に考えている。法制化を進めたい」と述べた。
適応策は、政府が2015年にまとめた「適応計画」に基づき一部で進められているが、本格的に広げるには法律で位置付ける必要があると判断した。環境省が科学的情報を集めて他省庁や地方自治体、企業に提供し、適応の取り組みを後押しすることが柱となる。
温暖化が進むと、台風の強大化や豪雨の頻発で洪水や高潮といった災害が増えるほか、感染症が拡大すると想定される。農林水産分野でも、穀物や果物の品質低下、漁場の変化などが起こり、対応が急務になっている。
適応策としては既に、暑さでコメの内部が白く濁り品質が低下する被害を防ぐため、高温に強い品種を作付けする農家が出ている。リンゴなど果樹の色付きの悪化に対しては、着色が損なわれない品種の開発が進んでいる。