2016年、中国自動車市場は、小型車減税措置を受けた購入前倒し効果で、大幅に拡大した。当面は、減税効果の剥落により、自動車市場は低迷する見通しだ。もっとも、中国の所得水準の伸びしろを考慮すれば、自動車の普及余地は大きい。足元で下振れしている販売台数も再び増加トレンドに戻っていくだろう。供給サイドでは外資規制の動向が大きな注目点である。出資比率規制の緩和は、外資の導入拡大だけが目的でなく、国有企業を競争に晒(さら)して、経営体力と技術の向上に取り組むことを促したものと考えられる。
16年の中国自動車市場は大幅に拡大した。中国自動車工業協会によると、年間の自動車販売台数(メーカー出荷ベース)は2803万台と前年比13.7%増加した。このうち、乗用車は前年比14.9%増の2438万台、トラック・バスは5.8%増の365万台であった。
この背景には、小型車減税措置が自動車市場の拡大の追い風となったことがある。通常、排気量1600cc以下の小型車の取得税率は10.0%であるが、15年10月から16年末まで5.0%に引き下げられた。減税による購入前倒し効果で、自動車販売が2桁増まで上振れしたのである。