金融庁は26日、監査法人が企業の決算をチェックした際、重点を置いた事項を監査報告書に記載するよう、監査基準の見直しを検討する方針を明らかにした。
東芝をはじめ企業の会計不祥事が相次ぐ中、監査の透明性を高めて投資家からの信頼を取り戻すのが狙い。今秋にも審議会で議論を始める。
監査法人は、企業の財務状況や経営成績といった決算書類が適切かどうかを評価して監査報告書にまとめており、投資家が投資先を選ぶ材料の一つとして使われている。ただ、現行基準は細かい報告義務を定めていないため「無限定適正意見」「限定付適正意見」「不適正意見」「意見不表明」の4種類の中から一つを記すにとどまり、監査の中身が分かりにくいとの指摘が出ていた。
このため基準を見直して、監査法人が監査で特に着目した点についても明示するよう求める方針。海外企業の合併・買収(M&A)などに潜む経営上のリスクを投資家が評価しやすくなる効果を期待できる。
金融庁は「監査の信頼性に疑念を抱かれており、透明性を高めていく必要がある」と狙いを説明している。