アフガン、“マッチョ”大会参加命懸け 治安悪くテロの標的にも

2017.6.27 05:00

アフガニスタンの首都カブールにあるジム「ホラサンザミン」でトレーニングに励む会員ら(共同)
アフガニスタンの首都カブールにあるジム「ホラサンザミン」でトレーニングに励む会員ら(共同)【拡大】

 アフガニスタンの首都カブールでは、人目を引くようなボディービルダーの看板を掲げたジムが多い。毎年、全国大会も開かれるほどの人気で、女性の社会進出に保守的な同国では珍しく女性専用ジムもオープンした。一方で治安は改善せず、国際社会の支援に頼る国内経済の構図は変わらないまま。筋肉への情熱に暗い影を落としている。

 「フッ、フッ」。ジムの一つ、ホラサンザミンに入ると、腹筋を鍛える息遣いが聞こえる。アフガンでは強靭(きょうじん)な肉体は伝統的に称賛の対象だ。経営者のアブドゥル・ガファルさんは「教え子が(大会などで)活躍すると何よりうれしい」。

 「素晴らしい肉体を手に入れたい」と2年前から通うショウカトゥラー・アフマディさんは、まだ線が細いが「お気に入りは上腕二頭筋」と力こぶを見せつけてきた。

 全国大会は2006年からカブールで開かれている。旧ソ連の侵攻、内戦、タリバン政権崩壊など混乱を経てきたアフガンでは現在も治安が改善せず、地方からカブールへの道中で襲撃される恐れがあり、人が集まる大会はテロの標的になりやすい。それでも、昨年の大会には全国34州のうち24州から435人の“マッチョ”が参加した。

 独自のイスラム原理主義を掲げた旧タリバン政権は女性のスポーツ参加を禁じた。その後もなかなか理解が進まないが、昨年10月にはカブールに女性専用ジムが開店。体を動かしたり、会話を楽しんだり、心身の健康維持も目的のようだ。

 ただ、ガファルさんは「毎月400アフガニ(約650円)の利用料金を払えない人がここ数年で増えた」と打ち明ける。ジム増加による競争激化も一因だが、会員数は10年前の約300人から半減した。「このままでは閉めるしかない」。ガファルさんの危機感は強い。(カブール 共同)

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