【北京=藤本欣也】中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は29日、米格付け大手、ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の格付け「Aaa(トリプルA)」を取得したと発表した。
大手格付け会社によるAIIBの格付けは初めてで、Aaaは世界銀行やアジア開発銀行(ADB)と同格。日米などAIIB未加盟国の間で参加を求める声が高まる可能性もある。
ただムーディーズは、経済成長鈍化と債務負担増の見通しから5月下旬、中国の長期国債格付けを上から5番目に引き下げている。その中国が最大出資国のAIIBに対し、最上位の格付けを付与する妥当性をめぐって論議を呼びそうだ。
ムーディーズはAIIBについて「ガバナンス(統治)の枠組みがしっかりしている」などと評価した。
AIIBには、中国が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を資金面で支える役割がある。今回、AIIBが最上位の格付けを取得したことで、その信用力をバックに国際金融市場において安い金利で債券を発行、資金調達規模を拡大できる。途上国への低利融資も可能となる。