訪日外国人旅行者が急増する中、滞在中にけがや病気で病院にかかり、医療費が未払いになるケースが増えているとみられることから、厚生労働省は未払いの実態調査に乗り出すことを決めた。旅行保険に入っていなかったり、クレジットカード払いができなかったりした場合に未払いが発生しているとみられる。近畿運輸局が大阪府内の病院を調べた結果、3カ月間だけで未払いが計1500万円超あったことが判明。政府は旅行保険への加入を呼び掛けるなど対策を急いでいる。
「意識消失で救急搬送され、集中治療室(ICU)で治療。海外旅行保険に未加入でクレジットカードも未所持。持っていた500ドルを円に換金してもらい徴収。残金は帰国後に送金してもらうこととしたが、督促しても入金も返事もない」
近畿運輸局の調査では、病院からこうしたケースが複数報告された。調査には大阪府内の147病院が回答。昨年5~7月の状況を尋ねたところ、66病院が外国人旅行者を受け入れ、うち30%に当たる20病院で未払いが発生していた。
患者数は375人で、未払いがあったのはうち27人。1人で約800万円という例もあった。合計金額は1547万円だったが、回答した病院は一部のため、実際にはもっと膨らむとみられる。外国人旅行者からの医療費徴収に「不安がある」と答えた病院は87%に上った。
北海道運輸局による昨年の調査でも、道内で過去3年間に外国人患者を受け入れたことのある医療機関の7%が未払いを経験。