【中国権力闘争】習近平氏の“銃口”はどこを向いているのか 恐怖政治浸透 反乱分子を鎮圧の見方も (1/2ページ)

 【北京=藤本欣也】中国共産党大会を秋に控え、習近平国家主席が軍部に大なたを振るい始めた。軍の最高指導機関、中央軍事委員会のメンバー11人のうち4人を排除した背景には、党内同様、軍にも“恐怖政治”を浸透させ、支持基盤を強引に形成しようという狙いがある。軍内の反発を完全に押さえ込めるのか、予断を許さない状況が続く。

 人民解放軍では7月30日に建軍90周年の閲兵式を挙行し、党との一致団結をアピールしたばかりである。

 1日に拘束されたことが分かった前海軍司令官の呉勝利氏は、中央軍事委員のうち最も高齢の72歳で、これまで海軍の拡張路線を推進してきた立役者でもある。習氏自ら、海軍重視の軍改革を進めてきただけに、呉氏の拘束は中国の軍事専門家の間でも驚きをもって受け止められた。

 一連の“粛清”を読み解くカギは、「政権は銃口から生まれる」との毛沢東の言葉にある。共産中国において、軍の掌握こそが最大の権力基盤であり、権力者たちは軍内に強力な支持勢力を形成してきた。それだけに前任者の影響力を排除するのは困難とされる。

 2012年11月に中央軍事委主席に就任した習氏が手を付けたのが、江沢民元国家主席派で制服組のトップを務めた郭伯雄、徐才厚両氏の追い落としだった。

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