ベトナム 発展支える「リサイクル村」 新興国の発展を支えるも、健康被害など負の側面 (1/2ページ)

 経済発展著しいベトナムの大都市周辺には、家庭や工場から出た資源ごみの回収や再利用を担う「リサイクル工芸村」と呼ばれる地区がある。新興国の発展を陰で支える一方で、住民の健康被害や環境汚染への懸念が広がっている。

 首都ハノイ中心部から車で1時間ほどにあるフンイエン省ミンカイのプラスチック専門のリサイクル工芸村。国道から脇道に入ると、ビニールを燃やしたときに出る悪臭がぷんと鼻を突く。黒く濁った川を越えて入り込んだ細い路地には、ポリ袋やペットボトルがうずたかく積まれていた。

 プラスチックを裁断したり、溶かしたりする作業所と民家が隣り合わせで立ち並ぶ。周囲はプラスチックのごみで埋め尽くされているが、作業所の一角では人々が和やかに食事し、子供たちは何事もないかのように自転車で通りを行き交う。

 ミンカイにはハノイなど北部の都市のごみが運ばれてくる。プラスチックは溶かしてポリ袋などに再加工し、一部は中国にも輸出している。国営メディアによると、住人は約4000人、全世帯の約8割がリサイクルに従事する。

 小さな作業場では3人の女性が、積み上げられた使用済みの点滴用ポリ袋を裁断する作業に取り組んでいた。「袋の用途は知らない。1日10時間働いて、月収は400万ドン(約2万円)くらい」(女性の1人)。

 リサイクル工場を営むグエン・バン・クインさんは「この地区の環境が悪いことは分かっている。以前は村内に住んでいたが、数年前に国道の近くに転居した」と話した。

資源の種類ごとのリサイクル村が存在