
シンガポールのチャンギ国際空港の第4ターミナル。搭乗客は無人機を使って荷物を自分で預ける(吉村英輝撮影)【拡大】
英スカイトラックスが今年3月に発表した旅客が選ぶ世界の空港人気ランキングによると、チャンギは1位で、2位の羽田(日本)や3位の仁川(インチョン)(韓国)を上回る。航空会社約100社が乗り入れ、世界380都市を結ぶアジア有数のハブ空港だ。だが、競争を勝ち抜くためには、低コスト化が不可欠となる。
特にアジアでは、かつては富裕層の乗り物だった航空機が、急速に“庶民の足”となっている。T4は、10月31日から順次、キャセイパシフィック航空(香港)、ベトナム航空(ベトナム)、大韓航空(韓国)といった大手に加え、LCCの代表格であるエアアジア・グループ(マレーシアなど4カ国)や、セブパシフィック航空(フィリピン)、春秋航空(中国・上海)が利用を始める。
国民1人当たりの所得が日本を大きく上回るシンガポールでは、清掃作業を含む肉体労働のほとんどは海外からの出稼ぎ労働者に依存している。だが、それでも人件費の抑制はコストに直結する。T4では、清掃に無人ロボットなども投入する。
顔認証でテロ対応
一方、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)など、台頭するテロへも対応できる安全対策の強化が同時に求められる。シンガポール政府は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて過激思想に染まったなどとし、バングラデシュ人の建設作業員の男や、インドネシア人のメイドの女らを本国送還にしている。コストと安全を両立させるカギを握るのが、危険人物などを確実に見分ける顔認証などを伴った、最先端の無人化技術というわけだ。