第3の一帯一路「氷上シルクロード」推進へ ロシアと共同開発

 【北京=藤本欣也】中国の習近平政権は現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の一環として、北極海経由の航路「氷上シルクロード」の建設へ向けて動き出した。

 習国家主席は1日、北京を訪問したロシアのメドベージェフ首相と会談、「ロシアと共同で北極海航路の開発・利用協力を推進し、『氷上シルクロード』をつくり上げなければならない」と強調した。

 一帯一路には、中国から中央アジア、ロシア、欧州へと続く陸上の「シルクロード経済ベルト(絲(し)綢(ちゅう)之路経済帯=一帯)」と、南シナ海やインド洋を経てアフリカ、欧州へ至る「21世紀の海上シルクロード(21世紀海上絲綢之路=一路)」の2大ルートがある。合わせて60を超す沿線国・地域において、中国主導で鉄道や道路、港湾といったインフラ建設などを支援し、影響力を拡大する戦略だ。

 3つ目のシルクロードとなる「氷上シルクロード」をめぐっては、プーチン露大統領が今年5月、北京で開催された一帯一路に関する国際会議で、一帯一路と北極海航路の連結を提案。中国側が「氷上シルクロード」の提案を歓迎、支持した経緯がある。

 北極海の海氷融解により開発が進む北極海航路を利用すれば、中国と欧州を結ぶ既存の陸上・海上ルートより行程の短縮が期待できる。ただロシアには、北極圏開発の資金面で中国への期待がある一方、中国の北極圏進出を警戒する向きもあり、曲折が予想される。