【専欄】中国公務員試験が始まった ノンフィクション作家・青樹明子 (1/2ページ)

 毎年10月半ばから下旬になると、大学生たちの多くは、人生を左右する二つの重要な試験に相対することになる。一つは大学院入試で、もう一つは公務員試験である。

 なかでも公務員試験は、中国で最も競争の激しい試験といわれていて、志願者数は毎年150万人を超す。昨年度は、某機関の受付職1名に対し、約1万人が応募したと話題になった。

 しかし今年は、珍しく“青信号”なのだそうだ。まずは募集人数の増加がある。今回の募集は全国で2万8000人以上で、10年前の2007年が約6000ポストに計1万2724人だったのに対し、約2倍以上である。

 もう一つは「仕事経験無しでも可」という職位が増えた。これまで公務員試験の受験資格には「仕事経験を有すること」という項目があり、新卒者の壁となっていた。しかし今年は、地元政府などにおける採用の中心は新卒者。優秀な新卒者を、末端機関で育てていこうという動きが出てきたようだ。もっとも、青信号といっても倍率が高いことに変わりはない。合格するには、試験で良い成績を上げることよりも、どのポストに応募するかが重要になってくる。

 今年の募集人数が多いポストは北京首都空港警察が48名、次いで外交部の地区業務職で47名、そして上海市の税関関係が43名である。ここにおそらく、考えられないほど多数の応募が殺到するのだろう。

 昨今、中国の公務員人気は低下しているといわれている。現政権が推し進める公務員の腐敗摘発が厳しくなり、緊張を強いられるからだろう。それでも公務員は魅力のある仕事である。安定感は抜群だし、社会的地位は高い。福利厚生もしっかりしていて、よほどの大きな失敗をしない限り、一生安泰だ。

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