災害情報一元管理へ官民チーム 内閣府、自治体支援 年度内に発足

 内閣府が、大規模災害時に現地に入り、避難所開設やライフライン寸断といった最新の情報を集約、デジタルデータ化する官民合同チームを2017年度中に発足させることが4日、分かった。災害発生直後に入り乱れる情報を一元管理し、対応に追われる自治体を支援するのが狙い。5日にも公表する。

 官民チームは、ITに精通した内閣府職員のほか、民間の災害関連情報を生かすため大手の通信会社、運輸会社、流通会社、メーカーなどの社員ら当初は約10人で構成する。社員は普段、東京の本社などで勤務し、災害発生時には速やかに招集。自治体の庁舎に設けられる現地対策本部に派遣する仕組みを想定している。業界他社の情報も集約し、通信環境や物流拠点の設置状況を官民で共有することで効率的な対応を目指す。現地対策本部では、ホワイトボードに情報が相次ぎ書き加えられたり、情報ごとに多数の地図が壁に張り出されたりして更新作業が困難になるケースも多かった。官民チームは、こうしたアナログ情報を国が運用する防災情報共有システム「SIP4D」に写真で送付、登録するなどしてデジタルデータ化する。

 最新情報は、気象観測データなどと連動させ専用サイトでマップ上に示し、リアルタイムで閲覧できるようにする。被災自治体職員の作業負担を減らすことが期待され、現地で活動する医療機関など支援組織への情報提供も見込まれる。18年度から各地の防災訓練に参加するなど実効性の向上を図る方針だ。

 チーム結成は、内閣府の有識者検討会が今春から、災害時のIT活用策として議論を進めていた。臼田裕一郎・防災科学技術研究所総合防災情報センター長は「災害時は組織ごとに情報集約するため、横断的なチームの存在は重要だ。災害対策本部の機能も格段に改善する」と話している。